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August 31, 2011

水没車輌の修復(3)

 車輪はすべて交換することにして代替品を物色したところ、φ8.0の先輪は珊瑚模型店製と思われる車輪が見つかりました。動輪はオリジナルは宮沢の2900用でコン様の在庫にあるとのことですが、スポークの数からすると珊瑚模型店の1850用も使えそうなのでもう少し検討してみます。テンダー車輪はφ9.5でこれも珊瑚模型店の製品がありました。
 先輪の車軸がオリジナルφ2.5に対して代替品はφ2.0です。先輪には第1動輪との間にイコライザが掛けられており、先輪車軸に直にイコライザが乗っているので車軸径の差分を補償する必要があります。そこで内径2ミリのパイプを旋削して、イコライザの掛かる部分をφ2.5にした写真のような軸受を追加しました。車軸が打ち込みなので黒染して組み込んであります。
Newsenrin1
 オリジナルで懸念されるイコライザの磨耗対策にもなりますね。
Newsenrin2
 テンダー車輪も車軸の寸法の違いで単純交換というわけには行きません。これについては次回で。

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August 27, 2011

水没車輌の修復(2)

 かつてダイカストのシーズンクラックというのがありましたが、これはダイカスト合金の管理状態が悪いと水酸化亜鉛が発生してそれを含んだままキャスティングされ、経年によりもろくなって割れるのだそうです。今回は海水に長く浸かっていたためにダイカストの亜鉛成分が海水と反応して水酸化亜鉛が生じたものと思われます。水に溶けないこと、白色であることから水酸化亜鉛だろうと推定しました。
 水酸化亜鉛は、希酸かPH 11以上のアルカリで溶融するとのことなので、手持ちの該当品を探したところ、塗装前の洗浄工程で使用するリン酸系のラストリムーバー(錆取り剤)がありました。赤錆や緑青のようなものもあったので、それらの剥離も期待して、これで試してみました。
 結果は上々で、動輪や先輪を2,3倍に薄めたラストリムーバーに浸けると、細かい泡を発生して水酸化亜鉛が解け出し、きれいになくなりました。ただし、ダイカストの表面は荒れた状態になってしまいました。表面の亜鉛成分がなくなったためと思います。肉眼ではそれほど目立ちませんが、写真を拡大するとかなりひどい状態です。
Afterdourin
 真鍮部分は水酸化亜鉛と緑青が入り混じったようになっていましたが、ラストリムーバーによりほぼ完全に除去できました。赤っぽくなったのはダイカストと同様に真鍮表面の亜鉛成分が少なくなったためと思われます。
Afterframe
 水酸化亜鉛らしい付着物、緑青などは除去できましたが、車輪はダイカスト輪芯の肌荒れ問題と、今後経年で悪化する恐れがあるので交換したほうが良さそうです。

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August 26, 2011

水没車輌の修復(1)

 しばらく更新をサボっていましたが、この間はマツモト製の或る列車5両の室内灯追加工事を行っていました。椅子などのインテリアはまだですが、ダブルルーフのモニター窓から明かりが漏れるのはなんとも言えず良いものです。
Shitsunaitou

 さてこの次ですが、東日本大震災の津波による浸水で水没した機関車模型の修復をお手伝いすることになりました。この機関車は、古典機ファンならご存知、Uさんの30年ほど前の秀作で、旧関西鉄道の鬼鹿毛、後の形式7650です。
Beforezenntai

 水が引いた後もかなりの間手を付けられなかったため、ご覧のような惨状です。
 ビスは一部さび付き寸前のところもありましたがなんとか分解できました。車輪のダイカスト輪心とその周囲に白い塩の結晶のようなものが付着し、真鍮や洋白にはいたるところに緑青(と思われるもの)が吹いていました。
 動輪押さえ板には白色に混じって緑青のようなものがみられます。
Beforeframe
 

 テンダー床下は鉄製部品がないのに赤錆のようなものが出ています。
Beforetender_yukashita
 先輪の輪芯は、スポークも見えないくらいすっかり白い付着物に覆われています。
Beforesenrin

 錆による膨張や腐食などで半田付け箇所がはがれたり、外れたりしているのではないかと心配しましたが、ざっと見た限りでは問題ないようです。錆や白い付着物、緑青を除去できれば修復可能と判断しました。
 そこで車輪を鍋に入れてお湯で煮てみましたが白い付着物は溶けませんでした。ダイカストの輪心に多く発生しているので、ダイカストをキーワードにして調べたところ、どうやら水酸化亜鉛らしいことが分かり、希酸かPH11以上のアルカリ水溶液で溶けるとのことでした。

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